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QVCマリンフィールドでの全体練習前が始まる前、炎天下、若手野手による早出特打が始まる。そしてそんな若い選手たちの打撃投手役を伊東勤監督が買って出ている。打撃コーチらと共に大粒の汗を流し、マウンドに上がる。150球近く、時には大きな声をかけながらボールを投じる。それが最近の指揮官の日課だ。
「若い子たちにとっては大きなチャンス。今がチャンスだと思って練習をしてほしい。結果が出れば、イッキにレギュラーをとれたり、1億円プレーヤーになれる。プロは気持ちが大事。それを伝えたいと思いながら投げている」
指揮官は強い口調でなにを思いながらボールを投じているかを教えてくれた。暑い日々が続く。35度を超える真夏の正午。前日、ナイターで厳しい戦いを終え、次なる戦いへ戦略を遅い時間まで練った後でも誰よりも元気よくグラウンドに姿を現し、若手との時間をとる。そこには思いがある。自分が率先して投げることによって、若い選手たちに感じ取ってほしい気持ちがある。それはこれからの選手たちが、チャンスを手に入れようと思う執念であり、気迫、強い魂。それらを投じるボールに込めている。打ち返すバットに思いをぶち当てる。
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「最近の若い子は野球界に限らないことかもしれないけど、現状に満足をしてしまうことが多い。もっともっと貪欲に来てほしいよね。1軍に残りたければ気持ちを出してほしい。頑張れば頑張るほど報われるのがプロの世界。ここで頑張れば、もっといい思いができる。それを理解してほしい。だから早出特打から、やらされている練習と思うことなく、全力で取り組んでほしい。オレにその姿勢をアピールするぐらいの気持ちで来てほしい」
就任1年目から言い続けてきた。特に若い選手には厳しく接してきた。褒めて伸ばすのが主流と言われる現代社会において、古いと言われても信念は曲げない。時には厳しい声をかけた。8月10日のイーグルス戦(QVCマリン)で勝利投手になった二木康太投手には「オマエのマウンドでの立ち振る舞いから、勝ちたいという気持ちが伝わってこない。もっと気持ちを出せ。逃げるな。守っている野手に気持ちが伝わらない。気合を入れろ!」と試合中に叱咤(しった)した。その3日後のホークス戦(QVCマリン)。試合中にベンチで見ていた二木を呼び寄せた。そしてマウンドにいる相手ピッチャー(千賀)を指した。「ただ、呆然(ぼうぜん)と試合を見ていてはだめだぞ。相手ピッチャーを見てみろ。あの間合い、リズム、気迫。オマエにとって参考になることがあるはずだ。それを感じ取れよ」。若い選手に覇気がないと感じたら試合後に監督室に呼び、「心」の大切さを説いた。もちろん、言葉だけで若い子が納得しない時代であることも理解している。だから時には食事を共にしたり、練習に付き合い、声をかけたりしながら思いを伝えている。その強い信念は確実にヤングマリーンズに浸透しつある。それが今年、「逆転のロッテ」と呼ばれるようになった粘りを生み、この厳しい夏場でも歯を食いしばりながら成績を維持し、さらに上位を狙う気概を見せている。
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「ここからは勝ちたいという気持ちが強いチームが勝つ。個人的な力も必要だけど、野球は一人でやるスポーツではない。スタメン、ブルペンのピッチャー、ベンチにいる野手、スタッフとこれだけ多くの人数でやっている。それらの心が勝ちたいと思いを一つにしているチームが勝っていく。どこも疲れているし、苦しい。だからこそ気持ちなんだよ」
酷暑の季節を越えると、長いシーズンはいよいよ最終コーナーへと突入する。厳しさと優しさを併せながら、ここまで突き進んできた伊東マリーンズだが、もちろん現状に満足するつもりはない。目標は1984、85年以来の2年連続Aクラスではない。2007年以来の2位でのCSホーム開催でもない。狙うはリーグ優勝。その気持ちを指揮官はベンチで燃やす。だから、自身の疲れた体にも鞭(むち)を打つ。全身全霊でタクトを振るい、全力で選手たちを鼓舞する。この先になにが待つかは神のみぞ知る世界。だが、伊東マリーンズは全員で信じている。ミラクルマリーンズと呼ばれる伝説がこの先に待っていることを。熱き心を持つ指揮官を胴上げする歓喜の瞬間が訪れることを疑うものなどいない。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)
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