[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
首都圏のアパート系賃貸住宅(木造、軽量鉄骨)の空室率が急上昇している。不動産評価Webサイト「TASーMAP」を運営するタス(東京都中央区、尾暮敏範社長)によると、2015年5月あたりから空室率(同社のTVI指数)が急上昇した。東京都全域では6月に33ポイントを超えている。およそ3戸に1戸が空室になっている。
同社では、アットホーム全国不動産情報ネットワークで公開されている情報などを基にしながら、独自に開発した賃貸住宅の空室の指標「空室率TVI(タス空室インデックス)」を算出し、空室率の動向を調査している。
マンション系の賃貸住宅(S造、RC造、SRC造)はアパート系ほどには急激な上昇はみられない。こうした傾向は、東京都だけでなく、1都3県でも見られる。
同社が公表した6月の首都圏の空室率TVIは、東京都全域で同月比マイナス0.02の11.55ポイントとなっている。東京都でも全体では空室率は改善傾向にある。
賃貸住宅については、2015年1月から相続税が改正されたことを受けて、節税対策として新たに賃貸投資を行う土地オーナーが急増した。消費税率の引上げ後も賃貸住宅の着工戸数は増加傾向を維持している。その結果、特に郊外に多いアパート系の賃貸住宅で供給過多状態に陥り、空室率が高まっているというわけだ。
この状況についてタス新事業開発部の藤井和之部長は「今の状況を見ていると、非常に危険な水準にまで達しつつある。しかも、今後も賃貸住宅の供給量は増え続ける可能性が高いのではないか」と指摘する。
相続税対策としてアパート投資の機運が高まっていることに加えて、日銀のマイナス金利施策によって、金融機関もアパートオーナーへの融資を積極化させている。日本銀行貸出先別貸出金によると、金融機関の個人による貸家業期末貸出残高は、2015年1月頃から顕著に増加傾向を示しているのだ。
藤井部長は「アパートでは新築プレミアムが薄れており、比較的新しい物件であっても空室が発生してしまうケースも増えている」とも指摘している。
単身者向けの物件に偏り過ぎているという点もアパート系賃貸住宅をめぐる大きな問題点になっている。タスの分析によると、ワンルームと1Kタイプの賃貸住宅は、バブル期と同等、もしくはそれ以上の新規物件が首都圏で供給されているという。対して、東京23 区に限ると、2K、2DK、3DKの約9割は築25年以上が経過している。
さらに、23区の間取り別賃料指数の推移を見ていくと、ワンルームや1Kなどの単身者向けの賃料が伸び悩んでいるのに対して、2LDK、3LDKタイプの賃貸住宅の賃料はリーマンショック前の水準にまで上昇しつつある。
少子化の影響で学生数が減少傾向へと向かうなかで、単身者向けアパートのニーズも減少していくと考えた方が自然だろう。ところが、いまだに首都圏ではワンルームや1Kタイプの賃貸住宅が、バブル時と同等、もしくはそれ以上の勢いで供給され続けている。このままでは、数年後には借り手がいない単身者向けアパートが不良ストック化する懸念がある。その一方で首都圏におけるファミリー向けの賃貸住宅の供給量は少なく、賃料指数の推移を見ても、ワンルームや1Kほど下がっていない。つまり、賃貸住宅市場において需給ギャップが生まれているというわけだ。
相続税の改正をひとつの契機として、供給量が増え続ける賃貸住宅だが、大きな不安材料を抱えていることも事実であり、今後は入居者ニーズにそくしたファミリータイプの賃貸住宅などへとシフトしていくことも求められそうだ。
ハウジング・トリビューン編集部
【関連記事】引用元:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160831-00010001-socra-sociただいまコメントを受けつけておりません。